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〜ASEANのインド太平洋展望〜
「第3の道」と日本の役割
 防衛研究所 庄司智孝氏に聞く

2020年2月26日更新

 庄司智孝(しょうじ・ともたか)氏
 防衛研究所地域研究部米欧ロシア研究室長
 1971年生まれ。神奈川県出身。東京大学教養学部卒業、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(学術修士)、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)、ナンヤン工科大学(シンガポール)国防戦略研究所修士課程修了(戦略研究修士)。2002年から防衛研究所勤務。専門分野はベトナムを中心とするインドシナ地域研究、東南アジアの安全保障。最近の主な研究論文に「南シナ海とASEAN フィリピンとベトナムの対応」『アジア研究』第63巻第4号(17年10月)、「ベトナムの対米安全保障協力 歴史的経緯、現状と将来展望」『防衛研究所紀要』第20巻第2号(18年3月)、「ASEANと南シナ海 米中の間で」『東亜』第622号(19年4月)など多数。

 昨年6月にタイの首都バンコクで開かれた第34回「ASEAN首脳会議」で記念撮影に臨む加盟10カ国の首脳ら=ASEANの公式ホームページから

 昨年6月、タイの首都バンコクで開催された第34回「ASEAN首脳会議」で、『ASEANのインド太平洋展望』(ASEAN Outlook on the Indo-Pacific,=A以後『展望』)が発表された。東南アジア諸国連合(ASEAN)がインド太平洋という地域をどのように認識し、この地域における諸課題、特に米中を軸とする大国間競争にいかに対処するかの方策をとりまとめた『展望』=A4で5ページ、全23パラグラフ=について、防衛研究所地域研究部米欧ロシア研究室長の庄司智孝氏に概要の紹介と合わせて分析・執筆をお願いした。(個人の見解であり、所属組織の見解を代表するものではありません)


■概要

(1)背景と根拠(第1〜5パラグラフ)

 アジア太平洋地域とインド洋地域は、世界で最も躍動的な、経済成長の中心である。そのため、当該地域においては、経済成長に伴う人々の生活水準の向上といった機会に恵まれると同時に、不信、計算違い、ゼロ・サムゲームに基づく行動パターンの深化といった課題が浮かび上がっている。

 東南アジアが当該地域の中心に位置するという重要性に基づき、地域の経済と安全保障アーキテクチャ(全体的な相互関係)の形成をリードし、そのようなダイナミクスが、東南アジアのみならずインド太平洋の人々に平和、安全、安定、繁栄をもたらし続けることを保証することは、ASEANの利益にかなう。

 数十年にわたって包括的な地域アーキテクチャの発展に取り組んできたASEANは、インド太平洋地域におけるより緊密な協力のビジョンを構築し、形成する上で、その集団的リーダーシップを維持する必要がある。

 ASEANはまた、競合する利益の存在する戦略環境のなかで誠実な仲介者であり続ける必要がある。このような背景において、ASEANの指導者たちは、ASEANを中心とする地域アーキテクチャを強化するイニシアチブ、すなわち「ASEANのインド太平洋展望」をさらに議論することに同意した。

 「展望」は、東アジア首脳会議(EAS)といったASEAN主導のメカニズムと共に、ASEAN中心性をインド太平洋地域の協力推進のための根本原則とみなしている。

(2)ASEANのインド太平洋展望(第6パラグラフ)

 「展望」は、次の四つの重要な要素からなる。

 (ア)アジア太平洋とインド洋地域を、隣り合う領土空間としてではなく、ASEANが中心的かつ戦略的な役割を果たす密接に統合され、相互に接続された一つの地域とみなす視点。

 (イ)対立ではなく、対話と協力のインド太平洋地域。

 (ウ)すべての人にとって発展と繁栄のインド太平洋地域。

 (エ)海洋領域と、進化する地域アーキテクチャの視点の重要性。

(3)目的(第7〜9パラグラフ)

 「展望」には次の四つの目的がある。

 (ア)地域協力を導く展望を提供する。

 (イ)共通の課題に対処し、ルールに基づく地域アーキテクチャを維持し、より緊密な経済協力を促進することにより、地域の平和、安定、繁栄のための環境を促進し、それにより信用と信頼を強化する。

 (ウ)ASEAN共同体の構築プロセスを強化し、EAS、ASEAN地域フォーラム(ARF)、拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)、拡大ASEAN海洋フォーラム(EAMF)やASEANプラス1関連会合などの既存のASEAN主導のメカニズムをさらに強化する。

 (エ)海洋協力、連結性、持続可能な開発目標(SDGs)、および経済その他の可能な協力分野を含む、ASEANの優先的な協力分野のうち、既存の協力の実施と新たな協力分野の開発。

(4)原則(第10〜12パラグラフ)

 「展望」は、次の諸原則に基づく。

 強化された・・・

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