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 朝雲寸言

 1980年、世界保健機関は高らかに天然痘根絶宣言を行った。当時の医学会は全ての感染症を孤立させ、治療するのに充分な医学上の努力が世界的規模で実行されるならば、他の感染症も同じ道を辿(たど)るだろうと信じて疑わなかった。しかし現実はそれほど甘くなかった。

 東西ベルリンの壁が崩壊し、1991年、ソビエト連邦が解体されて冷戦が終結した時、世界の人々の多くは対立や戦争がなくなって平和な世界が訪れるだろうと予想した。しかしそれは間違いだった。

 20世紀の大きな国際紛争のほとんどは外交や危機管理の失敗、すなわち間違った戦略、事態の展開や相手の出方の読み誤り、誤認・誤算によって起こっている。まさしく第1次と第2次世界大戦がそういう戦争であった。

 情報通信技術の発達や政治・経済のグローバル化が進めば国家間の誤解は無くなっていくだろうという見方は、あまりに楽観的であることが分かってきた。SNSなどにおける誹謗(ひぼう)・中傷、デマの拡散、そして都合の悪い情報を隠蔽(いんぺい)しようとする体質はどの国家にもある。情報量の多寡(たか)や伝達速度や情報処理技術を向上することよりも、正しい情報を見極めることがより困難になっているのである。

 人間やその集団が主役である限り、形を変えながら歴史は間違いなく繰り返されていく。要は歴史的事実を客観的に認識することが出来るかどうかなのであるが、実はこれが結構難しいのである。

(2020年10月15日付『朝雲』より)

 

 

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