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安全保障協力を着実に

日印首脳会談
 覇権的な行動をやめない中国への対処を考えれば、アジア第二、第三の経済力を持つ日印両国の協力は欠かせまい。安全保障分野での連携を着実に強化することが重要だ。

 安倍首相と、来日したインドのモディ首相が会談した。安倍首相は今回、外国の首脳として初めてモディ氏を自身の別荘に招待した。信頼関係の醸成に役立てようという考えだろう。

 両首脳は、外務・防衛閣僚会合(2プラス2)の新設や、自衛隊とインド軍が燃料などを融通し合う物品役務相互提供協定の交渉開始で一致した。いずれも、同盟国や、それに準ずる国同士が持つ枠組みである。

 政府は、海上自衛隊の救難飛行艇のインドへの輸出を目指している。実現すれば、2014年に決めた「防衛装備移転3原則」に基づく初の大型輸出となる。協議を進め、具体的な協力案件として実現を図りたい。

 インドは、歴史的に「非同盟」の立場を貫いているが、9月に初めて米国との2プラス2を開催するなど、日米とのつながりを深めようとしている。インド周辺国に対する開発や融資で「強国」を目指す中国を警戒しているためである。

 共同声明では、中国の海洋進出を念頭に、「脅迫や武力の行使」を批判し、航行や飛行の自由を確保する重要性が盛り込まれた。

 日米印3カ国は、海上での合同軍事訓練「マラバール」を定期的に行っている。豪州を加えた「日米豪印」の枠組みとすることも検討されている。各国の制服組が訓練の練度を高め、不測の事態に備えることが大切だ。

 安倍首相は共同記者発表で「強固な日印関係は、地域の秩序を支える基盤となる」と述べた。

 先の日中首脳会談では「協調」を唱え、関係改善を優先させた。日印間で防衛分野の協力を進めるのは、バランスを取る狙いではないか。

 経済協力の継続も日印関係の発展に不可欠だ。インド西部では、日本の新幹線方式を採用した高速鉄道の整備が進んでいる。工費の大半は円借款で賄われる。

 政府は、この整備や水力発電所建設などに3000億円以上の円借款を供与することを決めた。モディ氏は会談で「インド国民は日本の援助に感謝している」と述べた。

 安倍首相は、第1次内閣時代からインドを重視してきた。10年を超える交渉の末、両国は日印原子力協定に16年に署名した。

 核拡散防止条約非加盟のインドへの原発輸出は「核兵器増産につながらないか」と警戒する声もあったが、首相は、軍事利用に歯止めをかけることで妥結させた。中国の台頭を踏まえた戦略的判断である。

 政府はインドに対し、核軍縮への取り組みを促し続ける必要がある。

夏川 明雄(政治評論家)

 

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