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韓国は真摯に対応せよ

レーダー照射
 これほどまでに、防衛省が慌ただしい年末年始を迎えたことがあっただろうか。

 韓国海軍の駆逐艦が、日本海で警戒監視活動にあたっていた海上自衛隊のP1哨戒機に対し、火器管制レーダーを照射した。火器管制レーダーは、目標を捉えてミサイルなどを命中させるために、自動で追尾する装置である。

 アジアの安全保障を支える隣国同士とはいえ、一歩間違えば不測の事態を招きかねない。韓国は速やかに再発防止策を講じるべきだ。

 日本政府の抗議に対し、韓国国防省はレーダーの運用を否定した。

 防衛省は「レーダー特有の電波を複数回照射された」とし、駆逐艦の上を低空で飛行した事実はない、と説明している。自衛隊機は無線で、再三にわたって照射の意図を問いかけた。駆逐艦は、「通信が微弱」なため、応じなかったという。

 韓国側の不誠実な対応に対し、防衛省が映像を公開すると、今度は韓国も反論のための動画を公開した。「自衛隊機が威嚇的な飛行をした」と非難し、日本に謝罪を求めている。

 効果音を足す演出は、韓国国内向けのアピールなのだろうが、理性を欠いていると言わざるを得ない。

 日本政府の見解は、レーダーの周波数を詳細に分析したうえでの結論だ。韓国側の主張は、説得力に欠ける。

 日中韓など21カ国は2014年、航行の安全確保のための国際基準を採択している。火器管制レーダーの照射や、武器を相手に向けることなどを控える内容だ。

 今回のレーダー照射に、自衛隊を攻撃する意図はなく、偶発的なミスの可能性もあろう。韓国は真摯に対応し、日本の疑念を払拭しなければならない。仮に韓国軍の統率が取れていないのであれば、ゆゆしき問題である。

 日韓両国はともに米国の同盟国である。自衛隊と韓国軍は共同訓練を行っており、制服組の交流も進んでいる。

 だが、韓国の最近の対応は、あまりにも利己的だ。昨年、自衛艦旗の掲揚が認められず、自衛隊が参加を見送った済州島での国際観艦式で、韓国艦艇は「抗日」を象徴する旗を掲げた。

 北朝鮮の核、ミサイル問題の解決に向け、日米韓3カ国が足並みを乱すことは許されない。政府は、韓国政府と粘り強く協議を続けねばならない。

 徴用工を巡る訴訟や、元慰安婦を支援する財団の解散で、日韓関係は冷え込んでいる。徴用工問題で、安倍首相は、日本企業の資産差し押さえが現実化した場合、「具体的な措置」で対抗する考えを表明した。

 今年は、日本統治下の1919年の独立運動「3・1運動」100周年にあたる。文在寅政権がこれまで以上に「反日」ムードを高めるならば、関係改善は難しいかもしれない。

夏川 明雄(政治評論家)

 

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