『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える安保・防衛問題の専門紙です。

TOPコラム >時の焦点


 時の焦点<国

大衆迎合主義では困る

参院選公約
 国民の将来不安に応え、日本の新時代をどう展望するか。各党が具体策を明確に示し、政策を競うことが必要だ。

 自民党が参院選の公約を発表した。政界は衆参同日選の観測で浮き足立つ。同日選の有無はどうあれ、各党に問われるのは、まず政策である。

 自民党の公約は、6本柱の先頭に「外交・防衛」を位置づけ、「国際社会の結束やルールづくりを主導する」と掲げた。

 大阪での主要20カ国・地域(G20)首脳会議など、重要な外交日程が続く。安倍首相が注目される機会を選挙戦に生かす狙いもあるのだろう。

 日本はかつて、欧米諸国がつくったルールにうまく適合することを目指した。だが、米国と中国が激しく対立し、欧州に自国第一主義が広がる現在、日本は受け身ではいられない。

 日本が世界でどのような役割を果たすのか。北朝鮮問題などの懸案にどう臨むのか。選挙戦に向けてさらに議論を深め、より具体的に語ってもらいたい。

 「1強」が続く自民党に、野党はどう対抗するのか。

 勝敗のカギを握る全国32の「1人区」(改選定数1)で、野党候補一本化の見通しが付いた。あとは政策である。

 立憲民主党は、「安倍政権下で格差が広がった」として、アベノミクスに代わる経済政策を訴える方針だ。

 野党各党からは、学校給食の無償化など、生活に密着した政策をアピールすべきだという声が上がっている。

 地方を中心に、景気回復の実感が乏しいとの声は少なくない。政府・与党の目が行き届かない部分に光を当てるのは、野党の重要な役割である。

 気がかりなのは、与党との違いを強調し、野党間の連携を重視するあまり、政策がバラマキに流れることだ。

 自民党が公約に盛り込んだ消費税率引き上げに対し、野党からは反対の声が相次いでいる。

 国民民主党の玉木雄一郎代表は記者会見で、リーマンショックのような場合としながら、「消費減税」について「選択肢から否定するものではない」と語った。

 一部の識者は、欧州で大胆な財政出動を主張する反緊縮運動が広がっていることを踏まえ、日本でも、消費増税を中止し、「反緊縮」を進めるべきだと主張する。

 だが、注意しなければいけないのは、緊縮財政の欧州連合(EU)とは違い、日本はむしろ歳出を拡大させ、教育無償化などのリベラル派的な政策を展開していることだ。

 歳出規模を維持したまま、消費増税を中止、さらには減税まで踏み込めば、将来世代に莫大な借金を残してしまう。

 野田佳彦・前首相が消費減税を「ポピュリズム(大衆迎合主義)の極地だ」と批判したのは当然であろう。

 国民が求めているのは、一時しのぎではなく、将来の安心につなげるための政策論争である。

宮原 三郎(政治評論家)

 

朝雲新聞社の本

防衛ハンドブック
2019

『朝雲』縮刷版
2018


2019自衛隊手帳
アジアの
安全保障
2018-2019

自衛隊装備年鑑
2018-2019

わかる
平和安全法制

自衛隊総合戦力
ガイド

当ホームページに掲載の記事・写真・図表の無断転載を禁じます。すべての内容は著作権法によって保護されています。