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日本の真意を内外に示せ

対韓輸出規制
 韓国への配慮を重視してきた日本としては、異例の対応である。その真意と背景を、国内外に丁寧に説明しなければならない。

 政府は、半導体製造に必要なフッ化水素など3品目について、韓国向けの輸出管理を厳格化した。これに加え、輸出手続き簡略化の優遇措置を受けられる「ホワイト国」27カ国から、韓国を除外する準備を進めている。

 安倍首相は、「相手が約束を守らない中では、今までの優遇措置は取れないのは当然の判断だ」と語った。

 西村康稔官房副長官は、輸出管理をめぐり、「韓国との間で、少なくとも3年以上の間、十分な意思疎通、意見交換が行われていない」と指摘した。過去に不適切な事案があったことも明らかにした。

 韓国海軍による海上自衛隊機への火器管制レーダー照射問題では、韓国側は事実関係さえ認めていない。

 これでは、「ホワイト国」として特別扱いを継続するのは難しい、ということであろう。軍事利用も可能な物資は、ひときわ適切な管理が求められる。

 日本の厳しい対応の背景にあるのは、日韓関係の基本をないがしろにする韓国への不信感である。

 昨年10月、韓国最高裁は、韓国人元徴用工の損害賠償訴訟で、日本企業に賠償を命じる判決を確定させた。この判決が、請求権問題の「完全かつ最終的解決」を確認した1965年の日韓請求権・経済協力協定に反しているのは明白だ。しかし、韓国政府は十分な対応を取っていない。これでは、韓国内にある日本企業の資産が次々と差し押さえられ、売却される事態に陥りかねない。

 韓国の文在寅大統領は年頭の記者会見で、元徴用工問題について「韓国政府は三権分立により判決を尊重しなければならない」と語った。しかし、「三権分立」を口実に国際的な約束を反故にするのでは、国際社会の秩序は成り立たない。

 「条約法に関するウィーン条約」は、「条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない」と明確に規定している。韓国の憲法などを根拠に日韓の協定を破ることはできないのである。

 韓国の協定軽視はこれにとどまらない。

 同協定は、両国で紛争が生じた場合、仲裁委員会を設けて解決する手続きを定めている。日本はこの規定に基づいて仲裁委の設置を要請しているが、韓国は応じていない。

 気がかりなのは、日本の輸出管理厳格化について、韓国政府が単に「報復」と受け止め、反発を強めていることだ。

 韓国が問題点を直視せず、日本に対抗するだけであれば、混乱は長期化し、日韓の経済に大きな悪影響を及ぼす。

 韓国が対応を改めれば、日本も柔軟に対処する必要があろう。そのカギは韓国が握っていることを忘れてはならない。

宮原 三郎(政治評論家)

 

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