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社会の底力で感染抑止

緊急事態再び
 昨年春に続いて、2度目の非常時である。短期で成果を挙げるには、一人一人が新型コロナウイルスの感染防止に努力する以外にない。

 菅首相が新型インフルエンザ対策特別措置法に基づいて、緊急事態宣言を発令した。東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県が対象で、2月7日までだ。追って、大阪、京都、兵庫の3府県も対象となろう。

 首相は、宣言発出に当たって記者会見を開き、こう強調した。

 「私はこの状況は必ず克服できると思っています。そのためには、もう一度、皆さんに制約のある生活をお願いせざるを得ません」

 連日のように新規感染者が過去最高を更新し、重症者も増えている。社会・経済活動を大きく制限してでも、感染抑止を最優先するのはやむを得ない。

 コロナ患者を受け入れる病床の余裕は失われ、医療関係者からは「医療崩壊の瀬戸際にある」という強い危機感が示されている。

 幅広い業種に休業や営業時間の短縮を求めた前回と異なり、今回は、飲食店にターゲットを絞っているのが特徴だ。

 首相は、「専門家も、東京で6割を占める経路不明の感染の多くは飲食が原因だと指摘している」と語った。

 飲食の際にマスクを外し、そのまま長時間会話する際に飛沫によって感染するというわけだ。

 政府は、飲食店などへの営業短縮要請の実効性を高めるため、財政支援を明記して罰則を盛り込む特別措置法の改正案を通常国会に提出する方針である。

 飲食店側からは、「なぜ狙い撃ちされるのか」といった不満が漏れている。忘れてならないのは、飲食店そのものが悪いわけではない、ということだ。

 店が感染防止策を講じても、客がそれを無視したという例は数多い。

 中小の飲食店は、都内だけでも約8万店に上るという。いくら罰則を設けても、違反を確認し、実際に適用するには相当の手間がかかる。

 飲食店をはじめ、自粛を要請された各事業者の主体的な取り組みがなければ、緊急事態は空文化しかねない。なぜ営業自粛が必要か、一般市民にはどんな行動が求められるか、政府は丁寧に説明し、理解を広げなければならない。

 感染拡大と歩調を合わせるように、報道各社の世論調査では、菅内閣の支持率が低下している。

 政権に対する世論の視線が厳しくなるのは当然だとしても、政治のメッセージに耳を貸さない人が増えるようでは困る。

 コロナ患者を受け入れない医療機関はおかしい。あるいは、経済を重視しすぎる政府はおかしい。このような他者批判が前面に立ち、協調する機運が失われるのは危険である。

 みなが結束しなければ、この難局は乗り越えられない。社会の底力が問われていよう。

宮原 三郎(政治評論家)

 

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