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第16回 シャングリラ対話に参加して 西原 正 氏

2017年6月15日更新

 西原 正(平和・安全保障研究所理事長、元防衛大学校長)

やや低調だった今年のアジア安全保障会議

 今年のアジア安全保障会議(正式名称は「シャングリラ対話」)は去る6月2~4日にシンガポールで開催された。2002年に国際戦略研究所(IISS)が始めたこの会議は今回は参加国14カ国、参加者504名(IISS発表)、その他報道陣や国防省関係者が約200名という大きな会合であった。

 この会議は主要参加国の国防大臣が招かれて、それぞれ国防政策を紹介する。今回も米日豪仏やASEAN諸国の国防相がそれぞれ20分位の講演をし、その後に約15分の質疑応答に応じた。

 トランプ政権の誕生、朝鮮半島の緊張増大、米中接近、米露対立などアジアの国際関係が大きく変化しそうな状況の下で行われた会議だったので、さぞ激論が交わされるだろうと期待していたが、実際に参加してみて今年の会合はやや低調であった。

 その原因は、国防大臣の欠席が目立ったことである。中国はこれまでの16回の会議の中で国防相を送り込んだのは1回だけで、あとは昨年までずっと人民解放軍副参謀長を送っていた。それは中国がこれまで南シナ海の領有権主張などを巡って批判される立場にあり、不快に思っていたからであろう。

 ところが、中国は今回、さらに格下の中国軍事科学院の何雷副院長(中将)を送った。同氏の肩書が低すぎて、他の大臣と同様に壇上で講演をすることはできなかった。とにかくこうした事情で、ハーグ裁定、中朝関係、南シナ海など、中国に関する議論は盛り上がらなかったのである。

 トランプ大統領は北朝鮮の核・ミサイルの急速な開発を抑えるため、習近平に対して金正恩に圧力をかけるように強く促し、そのため中国批判は控え目であるが、会議でのマティス米国防長官は朝鮮半島緊張緩和に対する中国の責任を強調し、南シナ海での中国の人工島造成を批判し、そして米国による台湾への武器供与にまで前向きの姿勢を表明した。トランプ大統領とマティス国防長官は中国に関しての見解をやや異にしているとの印象を受けた。

 会議がやや低調であったもう一つの要因は、ロシアも国防相を送ってこなかったことである。ショイグ国防相の代わりにフォーミン国防相代理(中将)が参加した。同中将は、「米国がロシア周辺のルーマニア、ポーランド、トルコ、韓国、日本などにミサイルを配備しており脅威である」、「ロシアの南クリール諸島のすぐ近くに米軍の基地がある」などと日米を乱暴に非難した。そしてまた「中国はいい国で平和的な国である」とまで言って会場の失笑を買っていた。

 ロシアの国防相代理が2日目の最後の第5セッションで、ニュージーランドとシンガポールの国防相と一緒のパネルに登壇したのは、屈辱的と感じたのではなかっただろうかと思った。それに比べて日本の稲田防衛相は第1日目の第2セッションでフランス、オーストラリアの防衛相(いずれも女性)とともに登壇した。いずれもそれぞれの立場から、国際秩序を安定的に維持するためには、ルールに従って行動すべきで、一方的な現状変更は真に避けるべきであると主張して、中国やロシアを暗に批判した。

 稲田防衛相は、さらに日本が昨年、安保法制を改正して自衛隊に新しい任務が付与されたこと、尖閣諸島の防衛(安保条約第5条の適用が確認された)および朝鮮半島の有事に際して日米同盟の役割が一層強化されたことなどを話した。そして日本は信頼醸成(confidence│building)、能力構築(capacity│building)、努力の結集(combined efforts)の「3C」を重視するとした。

 さらにASEAN加盟国の国防相のうち半分が欠席したのも、会議を低調にさせた。フィリピンの国防相はミンダナオでのイスラム過激派の活動への対処のため、国防次官(退役少将)を代理として送った。その代理はハーグ裁定にはほとんど触れなかった。

 会議がやや低調であったとはいえ、会議期間中、この機会を利用して場外で81の会合(日米豪、日米韓など)が組まれたと発表された。「シャングリラ対話」の意義は依然大きい。

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