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西原正氏、佐藤正久氏が対談
新「大綱」に影響与えた「アメリカの価値観」の変化

2019年2月12日更新

 西原正 平和・安全保障研究所理事長(元防大校長)
 1937年大阪府生まれ。62年京都大学法学部卒。72年ミシガン大学大学院政治学研究科修了、77年防衛大学校教授、2000年第7代防衛大学校校長。06年退官し、一般財団法人平和・安全保障研究所理事長。2008年瑞宝重光章受章。

 佐藤正久 外務副大臣(元1等陸佐)
 1960年福島県生まれ。防大27期。1996年ゴラン高原派遣輸送隊初代隊長、2004年イラク人道復興支援活動で先遣隊長、7普連(福知山)連隊長。2007年参議院議員初当選。2012年防衛大臣政務官、2017年外務副大臣。


 日本の今後の安全保障について語り合う西原平和・安保研理事長(右)と佐藤外務副大臣

 日本を取り巻く東アジアの安全保障環境は、変化のスピードが速く、厳しさを増している。そのような状況を踏まえ、昨年末に策定された「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」を中心に、現状分析と今後のあるべき方向性について佐藤正久外務副大臣(元1等陸佐)と西原正平和・安全保障研究所理事長(元防大校長)に語り合っていただいた。(1月23日に都内で対談、司会は朝雲新聞社取締役・水谷秀樹)


日本の安保カギ握る米中

日本にとって脅威は中国「米国に代わる」可能性も 西原

 ――最初に今の日本を取り巻く安全保障環境について、それぞれのお考えをお話し頂くところから始めたいと思います。

 西原平和・安保研理事 国際環境は今、去年ぐらいから極端に厳しくなってきたと思います。新しい「防衛大綱」も今までにない段階に入っているということなのか、「格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増している」と言っています。私は、日本にとって一番の脅威となるのは中国、それとロシアだと思うんですね。北朝鮮の問題も難しい問題なんですけど、日本にとってはそれほど脅威になってないような気がする。一番重要なのは中国ですね。

 中国が軍事的、経済的、そして外交の面でも活動を拡張し、いろんな面でオールラウンドに自分たちの存在を大きくしています。2017年10月、共産党第19回全国代表大会で習近平国家主席は「2050年までに中国を主導的大国にする」と。アメリカへの優位性ということに彼らは関心を持ってる。これは我々にとっても非常に大きな問題です。単に中国が脅威であるというだけではなくて、「アメリカに代わる存在」になる可能性まで出てきてるわけですから。アメリカも大変な意欲を示してトランプ政権が中国に対抗しようとしています。この米中の関係がどうなるか、我々にとって一番大きな問題ではないでしょうか。

 佐藤外務副大臣 まさに西原理事長がおっしゃるように日本だけでなく、ヨーロッパ正面も、中東正面も、情勢の変化のスピードが速く、激しい時代になってきたと思います。その要因の一つに、中国の経済発展もありますが、それ以上にアメリカの価値観の変化があるのかなと思います。

 典型的なのが、この前の大統領選挙で「アメリカ・ファースト」を掲げたトランプ大統領が勝利したこと。同時に民主党の方の候補者を選ぶときに、社会主義的な主張をするサンダース氏が43%の支持を集めていたり、この前の中間選挙でもそのサンダース氏の流れを汲むような方々が結構当選している。オバマ大統領が「アメリカは世界の警察官をやめる」と言いましたけど、今はもっとアメリカ自体が内向きになっていて、世界の安全保障をリードするという強い思いがアメリカ国民にもリーダーの方にも以前と違ってきていると考えざるを得ない。結果として安全保障環境が流動的になると思っています。

 例えば・・・

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技術革新に力を

自分の国は自分で守る 島嶼への端末輸送力は必須 佐藤

 ――今回の「大綱」と「中期防」の特徴につきまして評価すべき点と今後の課題についてお話し頂ければと思います。

 西原 安倍政権が防衛大綱を作ったのは2回目ですよね。一つの政権で二つを作るというのは珍しい。珍しいってことはこの5年間でかなり事情が変わったというか、日本の政府の考え方が変わったと、脅威に対する認識が変わったことを示しているのが一つの特徴だと思います。それから実際に防衛力の増強の中でも空母やステルス戦闘機を導入するとか、そういう面で日本は変わりつつあると思うんです。重要なのは集団的自衛権をどこまで日本が認めるかってことで、これは防衛大綱では述べていなかったですね。私はもう少し踏み込んだ言い方があってもいいかなと思ったんですけど。

 佐藤 厳しい安全保障環境を考えたときに、基本は自分の国は自分で守るということ、日本の防衛力を強化すると同時に、日米同盟をいかに実効性あるものにしていくかということに尽きると思うんです。今までの延長線上ではなく、国民を守るために真に必要な防衛力を作る。今まで大事だと言われていた分野でも欠落機能はたくさんあって、これまで必要性は分かるけど予算等の関係で触れてこなかった部分が、今回の大綱では出てきたような気がします。

 例えば、いわゆる「『いずも』の空母化」一つをとっても、我々がこれまで懸念しつつも手を付けてこなかった部分が太平洋側なんです。地政学から言うと、北正面がロシア、西北正面が北朝鮮、南西正面が中国というイメージで防衛力を整備してきましたが、太平洋側はあまり考えてこなかった。ところが中国の最近の動きをみると、どんどん沖縄を抜け太平洋での活動が増えていて、・・・

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日米豪印の連携しっかり 第3列島線まで考えよ 佐藤

 ――南シナ海を含めて「開かれたインド太平洋」。これはキーワードの一つだと思います。中国に対抗する上でも、日米豪印の連携が重視されています。

 佐藤 「自由で開かれた海洋秩序」という名の下の「インド太平洋構想」に関してですが、安倍総理は、別にこれは中国を排除するためのものではなくて、まさに自由で開かれた海は交易する人たちの公共財だという意味で使っているんです。ただ、南シナ海における中国の一方的な埋め立て現状変更、あるいは「一帯一路」という名の下に相手国の返済能力を超える形でのインフラ整備、結果的にスリランカのハンバントタ港とか、オーストラリアのダーウィン港に見られるように、長い間の借地権が取られてしまうというのは、これは国際標準からしても、我々としては看過できないので、是々非々で対応しておりますが、その中で日米豪印の連携っていうのはまさに鍵といえると思います。

 この前、安倍総理が7年ぶりに訪中しました。一方で、帰ってきてすぐにインドの首相を日本に呼び、ペンス副大統領が日本に立ち寄り、それから総理はオーストラリアに寄ってからAPECに参加しました。中国に行ったすぐのタイミングで日米豪印の連携をしっかりやってからAPECの演説に臨んだというのは、非常に効果的だと思いました。ただ残念ながら、日米豪印は外務当局間ではできているんですが、防衛当局間ではできてないんですよ。防衛省もやりたい気持ちはあるんでしょうけれども。やはり、日米豪印というならば、防衛当局間でもまとまった協議体を早く作ってほしいと思います。

 西原 今の最後の点は私も賛成ですけども、オーストラリアとインドとの関係がしっくりいってないようですね。だから何かやりましょうという時に、なかなか進まない。特に軍事演習の場合、4カ国でやった例は数えるぐらいしかないんじゃないですか。4カ国で軍事訓練やりました、4カ国の首脳が顔を合わせました、というような回数を定期的に増やしていくことが重要だと思いますが、なかなかそうはいかない。

 もう一つは「開かれたインド太平洋」という場合に、・・・

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フェアだと言える外交を 互いの負担分担が重要 西原

 ――最後に日米同盟と自衛隊の今後についてお伺いしたいと思います。

 佐藤 日米同盟のポイントは役割分担だと思うんですよね。「RMC」って言われますけど、ロール、ミッション、ケイパビリティー。役割と任務、能力ということを考えた時に、今まで以上に自分の能力を上げて、役割分担を広げていくことが、この地域の安定にもつながり、日米同盟の強化という面でも正しい方向性だと思っています。これだけ安全保障の状況の変化が激しくて、アメリカも今まで以上に内向きになるという傾向を考えた時、いろんな面で自分の国は自分で守るっていう観点から、日米同盟を考えなければなりません。

 これから国際社会全体の流れから考えると、さらに変化が激しくなる可能性があって、朝鮮半島も万が一、南北が平和条約ということになったら、朝鮮国連軍とか、在韓米軍の位置づけが変わりますから。少なくとも朝鮮国連軍がそこにいる必要性がなくなる可能性があります。実際に一部の識者が在韓米軍の縮小と言ってますからね。もともと「アチソンライン」には朝鮮半島は入っていませんから。日本に米軍が駐留して、共産勢力から守るという発想ですから。そう考えると、これだけ環境が不確定、不確実な時代になれば、やはり、自分の能力を強化しながら日米同盟の中の役割、欠落機能を含めて増やしていくことが大事な時代に来ているのではないか。おそらくアメリカはそれを求めていて、今回の岩屋防衛大臣がアメリカに行ってシャナハン国防長官代行と協議しましたけど、日本の「防衛大綱」「中期防」について高い評価を得たというのは日本がこれまでより能力を強化し、役割を広げようとしているのが評価されたのかなと思います。

 西原 トランプ政権が始まったころは、日本に対して特に防衛負担に関してずいぶん厳しかったけど、最近は日本に対して不満を言わない。ですが、私ちょっと言いたいのはね、日米同盟は強化すべきだし、重要です。そして事実、日米はさまざまなことをやってます。

 だけど、アメリカにとって日本はフェアな国だろうかと。アメリカは世界中で安定を図ろうとしている時に、・・・

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