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安全保障から見た日露関係の新たな局面
防衛研究所 兵頭慎治・地域研究部長

2019年9月4日更新

 兵頭慎治(ひょうどう・しんじ)氏
 1968年生まれ。愛媛県出身。上智大ロシア語学科卒、同大学院国際関係論専攻博士前期課程修了(国際関係論修士)。在ロシア日本大使館政務担当専門調査員、内閣官房副長官補(安全保障・危機管理)付内閣参事官補佐、防衛研究所第2研究部主任研究官、同地域研究部米欧ロシア研究室長などを経て、2015年から現職。16~18年には内閣官房国家安全保障局(NSS)顧問を務めた。現在、内閣官房領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会委員。ロシア地域研究(政治、外交、安全保障)が専門。共著に『現代日本の地政学』(中央公論新社、17年8月)など著書、論文多数。


 G20大阪サミットの機会に、通算26回目となる日露首脳会談を行った安倍首相(右)とロシアのプーチン大統領(6月29日、大阪市内のホテルで)=官邸HPから

 今年6、7月と相次いだロシア軍機による日本の竹島などへの領空侵犯。8月にはメドベージェフ露首相が北方領土の択捉島に上陸するなど、ロシア側の強硬姿勢が鮮明となる中、今後の日露関係はどこに向かうのか。9月上旬に予定されている安倍首相とプーチン大統領による通算27回目となる日露首脳会談を前に、安全保障面から見た両国関係の新たな局面について、防衛研究所の兵頭慎治地域研究部長に分析・執筆をお願いした。(個人の見解であり、所属組織の見解を代表するものではありません)


平和条約締結交渉の現段階

 「次世代に先送りすることなく終止符を打つ」という強い意欲の下、2018年11月にシンガポールで開かれた日露首脳会談では、1956年に結ばれた「日ソ共同宣言」を基礎として平和条約締結交渉を加速させることが、さらに翌12月にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれた首脳会談では、両国外相を交渉責任者とする新たな交渉枠組みの設置が合意された。

 本年6月末に大阪で開かれた「主要20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)」会合時の首脳会談では、当初期待された大枠合意は達成されなかったものの、引き続き交渉を進めていくことで一致した。果たして、日露間の平和条約締結交渉は進展していないのであろうか。

 実は、戦後70年余りの平和条約締結交渉において、①日露双方の政権基盤が安定している②首脳間の個人的信頼関係が醸成されている③トランプ政権の誕生により「ダレスの恫喝」のような米国による干渉がない――という三つの前提条件が初めてクリアされている。

 また、日露双方ともに、目的や程度の差はあるものの、自らを取り巻く戦略環境に照らして、平和条約を締結して日露関係を正常化する意義は共有されていると言えるだろう。

 2013年12月に策定された我が国の「国家安全保障戦略」では、「・・・

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安全保障から見た北方領土問題

 従来、日本がロシアに経済協力を行えば、領土交渉が進展すると考えられてきたが、ロシアを交渉のテーブルに引き寄せるためには有効であるが、北方領土を日本に返還させるという具体論を進めるためには、歴史認識と安全保障という二つの本質的な問題において日露双方が真正面から議論を行う必要がある。

 ロシア側は、第2次世界大戦の結果、島々がロシアの主権下になったことを日本が認めることが交渉の第1歩であるとの立場を崩しておらず、しかも、引き渡した島に米軍が展開する可能性を懸念している。

 両国の主張の隔たりが大きいことが明らかとなっているが、これは領土問題の核心に近づいていることを意味している。

 ロシアの安全保障にとって、北方領土はどのような価値を有しているのであろうか。

 オホーツク海は、冷戦時代から、米国に向けた核の発射場として、核兵器を搭載したロシアの原子力潜水艦が自由に航行できる海域として軍事的に重視されてきた。ロシアは、オホーツク海を外国の軍事的影響力を排除した「内なる海」、「ロシアの聖域」とみなしている。

 さらに、北極海航路の誕生により、・・・

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2件の領空侵犯とINF条約の失効

 最近、日露の安全保障関係に否定的な影響を及ぼす事態も発生している。

 本年6月20日、約4年ぶりにロシアのTu95爆撃機が南大東島と八丈島付近で短時間に2度に及ぶ領空侵犯を行った。ロシアによる領空侵犯事案は4年ぶりであった。

 さらに、去る7月23日には、中国のH6爆撃機2機とロシアのTu95爆撃機2機が初の共同飛行を行い、日本と韓国の防空識別圏に進入し、これら爆撃機の管制支援に当たっていたと思われるロシアの早期警戒管制機A50が2回にわたり竹島領空を侵犯した。これに対して、韓国空軍は計360発の警告射撃を実施したと韓国合同参謀本部が発表した。

 ロシア側はこれら2件の領空侵犯事実を認めていないが、日韓の係争地で起こったこと、来日中のボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が東京から韓国ソウルに移動するタイミングであったことから、日米韓の安保連携をけん制する動きではないかとみられている。

 5月30日に、東京において日露外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の第4回目の会合が開かれ、・・・

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