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「北極海航路」について
 兵頭慎治 防衛研究所地域研究部長に聞く

2020年2月4日更新

 兵頭慎治(ひょうどう・しんじ)氏
 1968年生まれ。愛媛県出身。上智大ロシア語学科卒、同大学院国際関係論専攻博士前期課程修了(国際関係論修士)。在ロシア日本大使館政務担当専門調査員、内閣官房副長官補(安全保障・危機管理)付内閣参事官補佐、防衛研究所第2研究部主任研究官、同地域研究部米欧ロシア研究室長などを経て、2015年から現職。16~18年には内閣官房国家安全保障局(NSS)顧問を務めた。現在、内閣官房領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会委員。ロシア地域研究(政治、外交、安全保障)が専門。共著に『現代日本の地政学』(中央公論新社、17年8月)など著書、論文多数。


 モスクワの「赤の広場」で行われたロシア軍の軍事パレードに登場した北極仕様のホワイトカラーに塗られた装備品。最新鋭の地対空ミサイルなどが注目を浴びた(2017年5月9日)=スプートニク通信社(https://sputniknews.com)のホームページから

北極を戦略的に重視するロシア その狙いと東アジアの戦略環境への影響

 プーチン大統領は政権発足後の2000年以降、北極に関する戦略文書を整備するとともに、13年頃から軍事プレゼンスの強化を図っている。現在ではロシアの安全保障を語る際、北極の話を避けることができなくなっている。ロシアは、なぜこれほどまでに北極を戦略的に重視しているのか。防衛研究所の兵頭慎治地域研究部長に分析・執筆をお願いした。(個人の見解であり、所属組織の見解を代表するものではありません)


ロシアが北極を重視する三つの理由

 近年、ロシアが北極を戦略的に重視しているのは、①天然資源の開発②北極海航路の活用③新たな軍事正面の誕生――という三つの理由に集約される。

 地理的にみると、北緯66度33分以北の北極圏に占めるロシアの領土および人口は、米国、カナダ、デンマーク、ノルウェーといった北極沿岸諸国の中で最大である。ロシアの北極圏は、国内総生産(GDP)の11%、輸出総額の22%を占めており、ロシアの経済活動に一定の役割を果たしている。

 北極海底には金、銀、鉄、亜鉛、スズ、ニッケル、ダイヤモンドなどの鉱物資源をはじめ、石油・天然ガスにおいては世界の未確認埋蔵量の約4分の1が手付かずの状態で眠っていると言われており、ロシアが保有する天然資源の多くが地上部分も含むロシアの北極圏内に集中している。

 北極におけるこうした資源開発が戦略的な重要性を持つとともに、ロシアの経済成長にとって主要な役割を果たしている。そのため、ロシアは2001年以降、北極海における120万平方キロメートルの海域を自国の大陸棚と主張し、国連大陸棚限界委員会に延長申請を行い、資源開発権のさらなる獲得を目指している。

 北極圏内の代表的な資源開発が、世界の天然ガス埋蔵量の20%超が賦存(ふぞん)するとされる「ヤマル半島液化天然ガス(LNG)プロジェクト」である。フランスや中国が出資して17年から稼働しており、19年からタンカーでの日本への出荷も始まっている。

 さらに、隣接する「ギダン半島アークティック(北極)LNG2」プロジェクトには日本企業も参画し、23年から北極海航路を通じてアジアおよび欧州にLNGを供給する予定である。15年に改訂された「国家安全保障戦略」では、北極圏における資源開発の主導権を確保することが国家課題として掲げられている。

 ロシアが北極を戦略的に重視し始めているもう一つの理由は、地球温暖化に伴う永久海氷の縮小により誕生しつつある北極海航路(NSR)である。航行可能期間が夏場に限定されるものの、年間の航行可能期間は徐々に拡大している。

 これにより、欧州と東アジアを結ぶ航路の距離がスエズ運河経由の約3分の2に短縮され、しかも海賊問題なども存在しない。ロシアは09年に国際航路としての利用を認めており、24年までに輸送量を8000万トンに拡大する目標を掲げている。

 ただし、国連海洋法条約の規定を援用する形で12年に「北極海航路航行規則」という国内法を独自に策定し、13年には「北極海航路局」という役所も新設して、ロシアは北極海航路を事実上コントロールしようとしている。

 具体的には、ロシアの排他的経済水域(EEZ)内を航行する国内外の民間船舶に対して、45日前までのロシアへの通航申請やロシアの水先案内人の乗船などを義務化している。また、18年には米空母が・・・

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