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特別寄稿 コロナ有事に問われる国家の品格
参議院議員 宇都隆史(元空自幹部)
(新聞「朝雲」2020年4月23日付掲載)

2020年5月12日更新

 宇都隆史(うと・たかし)参議院議員
 昭和49年11月、鹿児島県生まれ。平成10年3月、防大(42期)理工学部航空宇宙工学科卒。同4月、空自に入隊し、幹部として三沢、稚内、春日基地の各防空指令所に勤務。19年、松下政経塾への入塾を機に退官。22年7月、参院選挙に自民党公認で比例区に出馬し、初当選。28年の参院選で再選。外務大臣政務官、参院外交防衛委員長、党国防部会長代理など歴任。現在、参院外交防衛委員会理事、行政監視委員会委員などを務める。著書に『生まれ変わるなら、また日本がいい』『18歳からの政治の教科書』などがある。

 愛知県の中部国際空港セントレア内で、宿泊施設に一時滞在する帰国者・入国者のための食事を準備する陸自隊員たち(4月13日)

 タイベックスーツを着て千葉県の成田空港から宿泊施設まで自衛隊バスで帰国者らの輸送任務に当たる陸自隊員(3月30日)

当記事は2020年4月23日時点の状況を踏まえています。

有事に備えた国家体制 今こそ国民が考える時

 皆様こんにちは。自衛官出身参議院議員の宇都隆史です。この度は、朝雲新聞に紙面をいただき、特別に寄稿させていただきましたことに感謝申し上げます。今回は近年で最大の国難というべき「新型コロナウイルス」について思う所を述べたいと存じます。

責任の所在を曖昧にする中国

 まず、世界中に猛威を振るっている新型コロナウイルスですが、今回の世界的大流行の直接的な原因は、中国政府による「情報隠蔽」と「国際機関に対する政治圧力」だということを決して忘れてはなりません。中国は責任の所在を曖昧(あいまい)にするため、「ウイルスの発生源は中国ではない」との情報を流したり、率先して他国支援をしたりしていますが、保身のためには平気で現行秩序を捻(ね)じ曲げる中国流のやり方を、世界各国は「多数の国民の病死と経済の大損失」という対価を支払う形で学びました。今後、国際社会が中国を見る目は厳しくなっていくでしょうし、二度とこのような惨事を起こさないためにも、対中国戦略を誤るようなことがあってはなりません。

 新型コロナウイルスの発生当初、4月の習近平国家主席の国賓訪日が控えていたために、我が国政府も中国に対する渡航制限や入国禁止措置を躊躇(ちゅうちょ)し、初動対処が遅れたことは大失態と言わざるを得ません。当時の政治判断のプロセスは後々詳細に検証されるべきですし、事態を軽視していた政府(特に厚労省)には猛省を促したいと思います。

「備えよ常に」が危機管理の要諦

 さて、4月8日に、内閣総理大臣より緊急事態宣言が発令されました。「緊急事態宣言を出すのが遅すぎる」「なぜロック・ダウンしないのか」という声を多く聴きますが、日本の法体系では仮に緊急事態宣言を出しても、学校閉鎖やイベント中止も強制力はなく、外出や移動制限もあくまで『要請・指示』に過ぎません。ロック・ダウンやマーシャル・ロー(戒厳令)という制度の本質は「行政が強制執行できること」ではなく、「憲法や現行法の一部効力を一時停止すること」なのです。よって、結局「なぜ日本政府だけ強力な措置を取れないのか」という問題を追求していくと、「有事に政府にどれだけの強制権限を与えておくか」という憲法問題(緊急事態条項)に帰結していくわけです。

 法治国家において、政府は何でもできるわけでなく、あくまで憲法と法律の範疇(はんちゅう)においての行政執行権を与えられているに過ぎません。「まさかこんなことになるとは…」と思ってからは後の祭りです。「備えよ常に」こそが危機管理の要諦であるということもまた、この機会に国民の皆さんに身を持って学んでもらう必要があるでしょう。現状の事態は既に平時ではなく、『コロナ有事』であると言えます。

 有事においての行政執行は、平時の如くスムーズには行きません。「私たちは有事を想定した国家体制を取れてきたのか」「そのための十分な権限と責任を政府や該当する省庁・政府機関に与えてきたのか」問題から目を背け、政治への無関心からおざなりな準備しかしてこなかったツケが回ってきているといえます。

自衛隊の災害派遣要件がなし崩しに

 コロナ有事では、医務官を中心とした多くの自衛官も活躍しています。一方で、非常に問題があると思うのは自衛隊の災害派遣の在り方です。ご存知のように自衛隊の災害派遣の要件には、『緊急性』『公共性』『非代替性』という三要素が存在します。

 つまり、「人命などの急を要する内容であり、かつ公共の利益に合致し、さらに自衛隊にしかできない任務」であることが求められるわけです。

 この三要素が存在する意義には、自衛隊の私物化や民生圧迫を避けることに加えて、何より国防という高度かつ崇高な任務を完遂するための「自衛隊の特殊性・専門性を維持し守る」ことにあるのです。

 ところが、近年の災害派遣では、この三要素がなし崩しとなっていることに危機感を感じています。今回の『コロナ有事』に伴う災害派遣では、「クルーズ船内での除菌活動、帰国邦人の空港からの車両輸送、濃厚接触者に対するPCR検査や感染者に対する医療支援」といった三要素に該当すると判断できるものもありますが、一方で「隔離施設での生活支援、毎日の問診票の回収、食事の配膳・給仕、生活ゴミの回収」といった雑用まがいのことまでやらされています。これでは、『よろずや自衛隊』ではありませんか!

 隊員の・・・

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