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防衛医科大学校病院 新型コロナ患者対応の
最前線を振り返る

2020年6月30日更新

 新型コロナ患者対応のカンファレンスで、防医大の感染症専門医師からレクチャーを受ける看護師ら

医療安全・感染対策部感染対策室長 藤倉雄二 教官(医師)

医療安全・感染対策部感染対策室 三瓶歩 技官(看護師)

 電動ファン付の呼吸用防護具を頭部に着用して患者への気管挿管を行う医師ら。医療機器も養生して2次感染を防いだ

3病棟閉鎖、看護職員確保

 新型コロナウイルスへの対応では〝感染者ゼロ〟を維持している防衛省・自衛隊。その1機関で「第一種感染症医療機関」に指定されている防衛医科大学校病院(埼玉県所沢市、淺野友彦病院長)は、中国・武漢市からの帰国者の受け入れを開始した2月1日以降、6月上旬までに感染者23人の患者の治療に当たった。同病院で当初から治療活動に従事した感染対策室長の藤倉雄二医師と感染対策室の三瓶歩看護師。コロナと闘い続けた約4カ月間の日々を2人のリポートと写真で振り返る。


診療科の垣根越え医師団結成
医療安全・感染対策部感染対策室長 藤倉雄二 教官(医師)

 防衛医科大学校病院は埼玉県が承認する第一種感染症指定医療機関であり、今回の新型コロナウイルス感染症においても、流行当初から受け入れを行ってきました。埼玉県からの要請に基づき、当院では2020年2月1日に埼玉県第1例目の新型コロナウイルス患者の受け入れを行いました。

 当時、中国・武漢市からの政府チャーター便帰国者の一時滞在先が埼玉県内にあったため、初期に当院で受け入れた患者は中国からの帰国者が中心でしたが、3月に入ってからは埼玉県内でも散発的に患者が出現するようになったため、県の要請に基づき、特に中等症以上の患者を中心に受け入れを行ってきました。

 当院の特色を生かし、比較的重症度が高く人工呼吸器管理を必要とする患者や、合併症(透析患者、精神神経疾患など)のため他の病院では対応できないような患者も受け入れたため、所轄保健所のみならず比較的遠方の患者の対応も行っております。

本部長に淺野病院長 感染対策本部を設置

 当院では3月16日に、淺野病院長を本部長とし、医師、看護師、事務職員を構成メンバーとする新型コロナウイルス感染対策本部を設置し、近隣の感染状況と当院での対応について情報収集するとともに、情報の一元化によって効率の良い対策を行える組織を構築しました。

 埼玉県内では東京都から少し遅れ、4月上旬に急速に新規患者数の増加がみられ始めました。もともと、当院では感染症・呼吸器内科および事前に登録していた看護師が新型コロナウイルス感染症の診療を行っておりましたが、県内の患者増加に伴い、当院への受入要請も増加し、単一診療科や事前登録した看護師だけでは対応できなくなりました。そのため、病院の事業継続計画(BCP)を策定し、それに基づき病棟を順次閉鎖、最終的に3個病棟を閉鎖し看護職員を確保するとともに、医師に対しては診療科の垣根を越えた診療医師団を結成し4月10日から運用を開始して診療にあたっています。

 病院内では・・・

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患者ケア、通常通りを心掛け
医療安全・感染対策部感染対策室 三瓶歩 技官(看護師)

「確実に感染対策」重視

 当院は第一種感染症指定医療機関の認定を受けています。私は、第一種感染症患者受け入れ時の対応要員となっており、当院が新型コロナウイルス感染症患者の受け入れを開始した2月初旬から4月までの約3カ月間、病棟で患者対応に当たりました。

 治療薬がないことや、感染力の高さなどの情報が連日伝えられる中での対応に不安はありました。しかし、飛沫・接触感染であるため、必要な個人防護具を正しく着脱し、正しいタイミングで手指衛生を励行するといった、まずは普段から院内で行っている感染対策を確実に実施することを重要視しながら対応に当たりました。

 実際の患者受け入れから対応方法、処置、ケアは当院で作成した「1類感染症対応マニュアル」を参考にしながらも、常に更新される最新情報をスタッフ間で共有し、試行錯誤していく必要がありました。また、自分たちスタッフへの曝露を最小限にするために、テレビカメラや心電図モニターによるモニタリングを活用して患者の観察を行いました。

 受け入れ当初は、政府のチャーター便による帰国者の方が中心で、中には明らかな症状がない無症候性病原体保有の方もおられました。そのような患者に関わる中で、症状が出現しないかの観察だけでなく、通常個室とは異なる陰圧室に入室することや、外出や面会の制限に対する精神面のケアも必要だと改めて認識しました。 

暴露の危険が増す 重症患者への対応

 3月になると埼玉県内での感染者が出始め、当院は中等症以上の患者を中心に受け入れることとなりました。このころ受け入れた患者は、はっきりとした感染経路が不明の患者であり、また、家族も濃厚接触者となっているといった状況でした。

 この時期から入院後、呼吸状態が悪化し人工呼吸器を使用する患者が出てきました。大きな基礎疾患がない方であっても急激に呼吸状態が悪化するところを目の当たりにし、改めて新型コロナウイルス感染症の恐ろしさを感じました。

 重症の患者となると必然的に処置やケアが多くなります。通常より頻回な訪室や、長時間病室に滞在することが多くなるため、曝露しないよう、よりいっそう気を付けて対応に当たりました。

 しかし、曝露の危険はあると言っても、どうにか回復してほしい、できる限り通常と同じように患者をケアしたいという思いは常にありました。

 3月から4月にかけては重症の患者が亡くなることもありました。入院後も亡くなる間際まで面会できない患者や家族の思いを考えるととても辛いものがありました。テレビモニターを使用したり、最期の時のみ家族が防護具を着用して面会する形をとりました。

最前線での経験を管理者として助言

 私は現在、・・・

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 ◇第一種感染症指定医療機関

 感染力など危険性が極めて高く、厳重な管理と入院・治療が必要な「1類感染症」(エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱)と、1類に次いで危険性の高い「2類感染症」(急性灰白髄炎=ポリオ、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群=SARS、鳥インフルエンザ)の感染症患者の治療を行う機関。前室付きの陰圧個室など一定の基準を満たした「・・・

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