第1章 日本の防衛(事例と対処行動)

事例10 米国に向かう可能性のある弾道ミサイルの迎撃

 東アジアのある国が米国と武力紛争に。ハワイ、グアムへ向けて発射される可能性の高い弾道ミサイルに燃料を注入しはじめた。弾道ミサイルが日本の上空を横切る公算が高いため、米国から迎撃要請があった。

  

「こんごう」型護衛艦の2番艦「きりしま」

対処行動(集団的自衛権)

 こういった状況になった場合、ミサイルの標的が米国なのか日本なのか判然としない。日本に配備されている米海軍のイージス艦なども迎撃態勢を取る。米軍と共に「同盟調整メカニズム」を活用して、共同作戦を行うことになる。
 標的が日本であれば、[事例1]に該当し、日本としては個別的自衛権で対処するが、標的がハワイやグアムなどの米国であった場合、発射された弾道ミサイルを迎撃するとなると集団的自衛権の行使ということになる。したがって、この事態が「存立危機事態」と認定されなければ迎撃できない。
 発射後のレーダー追尾は我が国への攻撃のケースと同じだが、標的がグアムやハワイの場合、ターミナル・フェーズで迎撃する空自の地対空誘導弾ペトリオットでは役に立たない。日本上空、つまり宇宙空間を飛行するミサイル(ミッドコース・フェーズ)を迎撃するためには海上自衛隊のイージス艦から発射されるスタンダード・ミサイルで破壊する。

・弾道ミサイル防衛
 弾道ミサイルによる攻撃に対する防衛システム。自衛隊には大気圏外を飛行する段階でイージス艦から発射するスタンダード・ミサイルと大気圏に再突入した段階で迎撃するペトリオットミサイルが装備されている。→用語解説P.159参照


・自衛隊法:第88条(武力の行使)→資料P.135参照