第1章 日本の防衛(事例と対処行動)

事例4 離島への武装集団の上陸

  

ヘリコプターを使って現場に急行し、地上に展開する
陸自の隊員(2011年1月9日、習志野演習場で)

 漁民を装った武装集団が日本の離島に上陸した。海上保安庁の巡視船が現場に急行するが、武装集団の国籍は不明で、保有している武器の種類や規模も判然としない。海上保安庁では対処できない可能性が高い。

対処行動

 海上保安庁等の関係機関、及び米軍と緊密な連携をとり、海上保安庁のみでは対応できないと判断すれば、速やかに自衛隊に「海上警備行動」及び「治安出動」を命じる。具体的には海上自衛隊の艦艇が現場に急行、ヘリコプター等で自衛官を離島に上陸させ対処する。但し、「わが国に対する組織的計画的な武力の行使」がなされた場合に初めて「防衛出動」が発令され「武力の行使」が可能となるが、不明な時点では「治安出動」で対処しなければならない。治安出動における隊員の武装は警察官職務執行法に準ずるため、敵の武装と同程度でなければならない。
 武装集団が陣地を構築したり、強力な武器を運び込む可能性もある。そうなっては奪還が困難になる。もちろん、この場合は「武力攻撃事態」(事例2)であり、個別的自衛権の発動ということになる。重要なことは迅速かつ「切れ目のない」対応。電話による閣議等で、事態に応じた対応を行う。

・治安出動
 治安維持を目的として出動する自衛隊の行動→用語解説P.160参照

・電話閣議
 5月14日の閣議決定により、新たに可能となったグレーゾーン事態に対応する閣議の方式。これにより、グレーゾーン事態への迅速な対応を可能にした。→用語解説P.161参照

 自衛隊による治安出動、海上警備行動は従来法でも可能だが、電話による閣議が取り入れられたため、迅速に対応できるようになった。
自衛隊法:第78条(治安出動)→資料P.134参照
      第82条(海上警備行動)→資料P.134参照
・警察官職務執行法:第7条→資料P.153参照
「離島等に対する武装集団による不法上陸等事案に対する政府の対処について」(平成27年5月14日 閣議決定)→資料P.154参照